「3rd AASP Pharmacy Deans Forum」での「医師の調剤」からの脱却」 (国際標準医薬分業)に関するプレゼンテーションについて

日本薬剤学会理事各位・国際標準医薬分業推進委員会

「3rd AASP Pharmacy Deans Forum」での「医師の調剤」からの脱却」(国際標準医薬分業)に関するプレゼンテーションについて

私は、この度6/28日〜6/29日に開催された「3rd AASP Pharmacy Deans Forum」に参加し、日本薬剤学会の、「医師の調剤」 脱却(完全分業)推進活動 (Activity for Moving away from Medical Doctors' Dispensing in Japan) についてのプレゼンテー ションを行う機会を与えられました。

残念ながら日本の薬学の筆頭団体である日本薬学会には私達のこの活動に賛同して貰えないことにも触れました。中傷や誹謗の意 図はなく、私自身当該学会の一会員であり、それなりの事情があってのことと承知した上での発言であります。

日本薬学会の初代会頭長井長義先生の薬学の哲学と現在の日本薬学会の薬学に対する基本理念とに隔たりが存在することは認 めざるを得ません。申すまでもなく、長井先生はドイツ女性と結婚されて、ドイツ薬学(つまり国際薬学の代表格)を身につけられた国際 的薬科学者であり、近代薬学の歴史が浅い日本の薬学者が、そのレベル達することは容易ではありません。このことを踏まえて、次の 内容のプレゼンテーションを行いました。

@ 「日本薬学会百年史」によれば、長井長義先生は、日本薬学会創立に当たり、現在の薬学会の風潮になっていると言える、「薬 剤師の職能に関する事項は科学から外れる」(matters related to pharmacist profession are out of science) とか「薬学では科 学研究が第一」(scientific research is the top priority in pharmacy)、というようなことを述べておられません。

A 長井先生は、「エフェドリンの発見」という偉大な業績の他に、(ィ)日本の製薬産業の振興(大日本製薬設立に関与)、(ロ)日本 の女子教育の発展に寄与(日本女子大学、日本最初の女子大の設立に関与)、(ハ)医薬分業推進(明治薬学専門学校校長の恩 田重信先生と協同して推進活動)と薬剤師教育の振興(私立だった富山薬専と熊本薬専の国立化に関与)の偉大な業績があります (Wikipediaに記載あり)。

B これらのことからも、日本薬学会の基礎科学研究重点主義の風潮は、長井先生の「エフェドリン発見」という偉大な業績のみに目 が向けられて創り上げられた現象のように思います。とくに現在の日本薬学会が、私達の「医師の調剤」脱却(完全分業)活動に賛同 されないのは、医薬分業の強力な推進者であられた長井先生のご意志とは異なることが歴然としております。

このプレゼンテーションを離れてコメントを述べさせていただきますと、現在の日本薬学会は公益法人に指定されていますが、130年前の 長井先生の薬学創立の精神は、現在の薬学会以上に公益性が満ちていたことを痛感します。現在の日本薬学会は、日本の薬学を 代表する筆頭の薬学組織であり、薬学の盟主として日本のみならず世界の薬剤師のステータスにも影響を及ぼす存在であることからも、 日本薬学会の「医師の調剤」容認はFIP加盟国の薬剤師から奇異に思われるところとなっています。(2012年FIPコングレス)。関連して、 既にフィリッピンとタイでも「医師の調剤」脱却(完全分業)推進運動が進んでおり、日本が成功すれば加速されるところ大なるものがある と信じ、日本の進展を強く期待しています。このことについて、今回のForum参加者から訴えられましたが、日本の「医師の調剤」容認は、 日本薬学会のみの関連事項にとどまらず、アジア諸国の「医師の調剤」脱却(完全分業)推進の足かせになることを意識して貰わねば ならなりません。

最後に、このForumに参加したアジアの国の多くが薬学教育6年制への移行とPharm.D.の確立を目指しています。日本はまだPharm.D. について何ら進展はないと思われます。このままでは日本がアジアの国に追い越されることは必至と考えられます。優れた基礎科学者が、 日本の薬学から続々排出することが切望されますが、あくまでもそれは薬学の "OPTION"であり "MUST"にはなり得ません。つまり、薬 剤師をつくらない大学薬学部は存在し得ないように、"MUST"の確保を放棄し "OPTION"だけに強い薬学は世界第一級の薬学とは評 価されません。このことは。日本以外のアジアのどの国でも受け入れられるはずです。

永井恒司

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